以前、友達とふたりで、頻繁に食べ歩きに出かけていました。美味しいものをたくさん食べて、たくさんおしゃべりをする、幸せな時間を過ごすのが、何よりの楽しみでした。
あるとき、共通の知り合いである男性が飛び入り参加することになりました。行き先を四谷にある「オテル・ドゥ・ミクニ」に決めていたので、そこならば是非一緒に行きたいとのことでした。彼は、かなりの美食家、ワイン好きだったのです。私たちとしたら、ちょっと敷居の高い店に行くのにドキドキしていたところ。エスコートしてくれそうな彼の同行は願ったり叶ったりでした。
今となっては、何を食べたのか、何というワインを飲んだのか、定かではありません。ただ、赤いスープに入っていたさっぱりとした肉がとても美味しくて、何の肉かを尋ねたら「カエル!」だったことの衝撃と赤ワインの奥深さだけは鮮明に残っています。
ここでは、カエルはともかく、赤ワインのこと。一緒に行った彼がじっくりとワインメニューをみて選んだ赤。「これでいいかな?」と聞かれても全く分からず、「はいはい。」と答えたのですが、値段が目に入ってびっくり。一万円くらいだったと思います。「あ、ワイン代はぼくが払うから。」と格好良くかわしてくれて、さっと注文。彼がテイスティング。何が「これでいいです。」なのかも分からずに見つめていました。そして、いよいよ私のグラスにも注がれました。一口飲んで、「美味しい!」 でも、感激したのはそこではありません。「時間がたったら味が変わるよ。」という解説に、(そんなの、私に分かるはずないじゃない)と思っていました。でも、でも、分かっちゃったのです。味の変化が。分かったことがうれしくてうれしくて、その瞬間から赤ワインが大好きになりました。
そこからずっと、ワイン、特に赤ワインを好んで飲んでいます。あんなに鮮やかに味が開くワインにはなかなか出会えないけれど、一緒に食べる食べ物によっても味が変わることもわかり、チョコレートと相性がよいワインにも出会いました。少し、ワインの知識も仕入れながら、これからもワインの世界を楽しみたいと思っています。
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